介護の深イイ話:地域のつながりがお年寄りを支える

介護の深イイ話、地域のつながりがお年寄りを支える

 

3年間、お一人暮らしをされていた80歳後半の男性がいました。
お一人で頑張り続けてきましたが、足腰も弱まり生活動作に危険や不安を持つようになりました。

 

男性は、主治医の先生の話を忠実に守り、毎日欠かさずに散歩に出掛けていました。
通院や買い物にシルバーカーを押して歩く姿を近所の方が見かければ、

 

「どちらにお出かけするんですか?」
「体調はいかがですか?」

 

と必ず声をかけていました。

 

姿を見かけない日が続くと、民生委員さんや近所の方が自宅へ様子を見に行っていました。

 

元々寡黙で、人との交流が得意ではない方でした。
近所付き合いは全て奥様任せで暮らしてきましたが、一人暮らしになってからは、民生委員さんや近所の方の温かい声に少しずつ耳を傾けるようになり、出掛ける際は隣の家の奥さんへ「スーパーまで行ってくるよ」等と、ひと言告げてくれるまで心を開いてくれるようになりました。

 

ある日、玄関先で倒れている男性を近所の方が発見します。
腰痛が悪化して身動きがとれず、うずくまっていました。
なんとか、ベッドまで抱えて横になってもらいましたが、今晩からの生活が困る状態でしたので、高齢者の生活支援窓口の地域包括センターより、介護サービスを提供する私達に一報が入り、男性が住んでいる地域にある小規模多機能ホームへ緊急で泊まることになりました。

 

男性を迎えに行くと、近所の皆さんが

 

「早く元気になってね!」
「家のことは心配しなくていいからね」

 

と励まして下さっていました。

 

その後、腰痛もよくなり、ゆっくりと歩行できるようになるにつれ固かった表情も穏やかになり、明るい笑顔を見せてくれるようになりました。
地域の繋がりがお年寄りを支えているんだと改めて感じたエピソードでした。

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